地力。概要

地力。

ARTイマジネーションin KOBE磯上・2006

第1会場 IPSX MAGNET第2会場 門屋ビル第3,4,5会場 門屋ビル

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更新日 2011-02-07 | 作成日 2008-02-25

展覧会概要


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地力。ARTイマジネーションin KOBE磯上・2006
2006年5月14日(日)~28日(日)12:00~20:00

公開搬入期間8日(月)~13日(土)
オープニングセレモニー  5月14日18:00~
クロージングセレモニー  5月28日18:00~
会場 門屋ビル(本館,5,7号館) (神戸市中央区磯上通5丁目)
    門屋ビルは取り壊され、新しいビルが建設される予定。
IPSX MAGNET (神戸市中央区小野柄通5丁目) 
アドバイザー 河崎晃一(兵庫県立美術館学芸員)
主催 NPO法人リ・フォープ/IPSX MAGNET
協賛(株)建隆エステート、バッテリーカフェ、isogamiSOCO
後援 神戸市・神戸市教育委員会   
事務局 NPO法人 リ・フォープ

poster-.jpgポスターtirasi-o-.jpgチラシ表tirasi-u-.jpgチラシ裏

作品目録

作家名 タイトル 素材

第一会場

5階
朴一南 五行 Mixed Media
朴一南 陽 Mixed Media
朴一南 白日 Mixed Media
朴一南
朴一南 構成するモノ 糸
朴一南
林栄実 民の正義、国の反逆そこに生まれし新たな権力 Mixed Media
林栄実 無 Mixed Media
林栄実 在 Mixed Media
林栄実
金誠民 鳥 Mixed Media
金誠民 聖なる木 Mixed Media
金誠民 卵を守る赤い者 Mixed Media
金誠民 コウモリのアリア Mixed Media
金誠民 月に登るウサギとチョウチョ Mixed Media
金誠民

2階
趙剛来 ビューティーインエブリデイライフ 普通紙にプリントアウト、和紙、木材、電球
趙剛来
金陽愛 繋がっている 油絵
金陽愛 繋がっていた 油絵
金陽愛 繋がった 油絵
金陽愛

1階
権基英 止まった「時」は取り戻せない 鉄、砂
権基英
権基英 「時」の経過は変えられない 鉄、砂
権基英
裴淳玉 FLOWER アルミ、アクリル、電球、インク
裴淳玉
嚴珠壽 コントロール/Control Mixed Media
嚴珠壽
金洸秀 Song/あなた達はそのキレイな空の中を泳ぎ歌うのです キャンバス、油彩
金洸秀

成俊男 ファーストフード 発泡スチロール、段ボール、英字新聞、アクリル
成俊男
成俊男 シリアル(チョコ) シリアル、キャンバス
成俊男 シリアル シリアル、キャンバス
成俊男 プリクラ プリクラ、木枠
金玲淑 波動 麻布、コンクリート、アクリル、パネル
金玲淑

第2会場
國府理 Wind Powered Driller ヨット艤装品、鉄
國府理国府理国府理国府理
國府理 戒厳令下 廃品の蛍光灯、廃品の内線電話機
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ワァーダダ・コウドー ひみつ工場 キャンバス、アクリル、アルミメシュ、ローラー
小野サボコ  スケート、木、ペンキ、お風呂、テレビ-ビデオ
池田慎  DVD、洗面所、非常階段、ゴルフボール、シラスエビ
水垣尚  バン線、クーラー室外機、カガミ、洗濯物、ステンレスハンガー、アルミバター、コンベヤー、流し台、ホルソー、換気扇、カジキ、赤点滅機、スチール棚、オシピン、おもちゃ、お花、いす、等
ひみつ工場ひみつ工場ひみつ工場ひみつ工場ひみつ工場ひみつ工場ひみつ工場

第3会場
麻谷宏 ALL THINGSJOINT TOGETHER-2006inKOBE 水、金粉、ステンレス、ドローイング(ミクスト 「物.皆ナ一点ニ集マル」 メディア)
麻谷宏麻谷宏麻谷宏麻谷宏

第4会場
金勉植 「Birdsong on the telegraph line」のためのコンポジション 蝋燭、本、鞄、Mixed Media
金勉植
朱宰浩 platform Mixed Media
朱宰浩
尹晴樹 Sons of music ダンボール、マジック、ペンキ
尹晴樹

第5会場・若者
田中大輔 awakening パネル、紙、アクリル絵具、油絵具
田中大輔 family パネル、紙、アクリル絵具、
田中大輔 the sky lightens パネル、紙、アクリル絵具、
田中大輔 DanceⅠ パネル、紙、アクリル絵具、油絵具
田中大輔 DanceⅡ パネル、紙、アクリル絵具、油絵具
田中大輔 sky パネル、紙、墨、アクリル絵具、油絵具
田中大輔 the seaside パネル、紙、アクリル絵具、
田中大輔 strong body パネル、紙、アクリル絵具、
田中大輔 (壁画)utopia 紙、アクリル絵具、墨汁、石膏、コンテ
田中大輔
岡部隆志 町工場 パネル(SM)、麻紙、岩絵具
岡部隆志
岡部隆志 影 パネル(SM)、麻紙、岩絵具
中川知美 yellow パネル(SM)、紙粘土、アクリル絵具
中川知美
中川知美 vanilla パネル(SM)、紙粘土、アクリル絵具
遠藤有沙 天恵 紙、墨、アクリル絵具、土、石
森泉秀苑
森泉天湖
阪本祝苑
坂本道子
天恵

第5会場・本部
宮崎みよし  紙、クレパス、モルタル、墨、石膏、樹、電球、他
宮崎みよし宮崎みよし宮崎みよし宮崎みよし
笹埜能史 SKIN&PLACE 牛皮、ステンレス、ビデオ
笹埜能史
椿崎和生 日々の移ろい 木、鉄、紙
椿崎和生
米田定蔵 (写真協力)
写真 米田定蔵

パフォーマンス

5月14日 18時~      第5会場
玄済一他メンバーによる音楽演奏「アンビエント・ドローン・ノイズ…」
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岡本清周  詩の朗読「宇宙に吠える」
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5月17日 18時~      第4会場
Perfomance and Music Live
「Birdsong on the telegraph line」
 performance/金勉植
live/任キョンア、川上統、渡辺愛、藤居健介、趙世顕
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5月21日 16時~      第5会場
ことばあそび・おとあそび
 坂出達典  「ラジオ・パフォーマンス」
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 福永祥子  「風とあそぼ」
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 福永祥子+指方伝重郎 「伝伝夢詩であそぼ」
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5月27日 14時~      第5会場
一人芝居
 朴明子  「柳行李の秘密」
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5月28日 16時~      第5会場
川柳舞踏 
 情野千里   「びびびじじじ」
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     20時~      第3会場
フルート演奏
 水越典子  「Air」  
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解説

「地力」がもたらしたもの

神戸・三宮の若者が闊歩する地域に、突如として現われた展覧会「地力」は、その意外性と攻撃的な表現で、「おどろき」をもたらした。
磯上と呼ばれるこの地域は近年、カフェ、雑貨屋、家具店などが、その古いスペースを使って街並みを作っている。昔は、倉庫、オフィスそして神戸外人倶楽部(KRAC=KOBE REGATTA AND ATHLETIC CLUB)の本拠地と磯上グランドがあるくらいで、そこに用事のある人しか行かなかった。その一角にある昭和20年代に建てられた倉庫が、取り壊されることになったという神戸新聞の記事に跳びついたのが、リ・フォープ代表の宮崎みよしである。06年3月半ばのことである。5月の展覧会開催までの準備期間は、2ヶ月足らずだった。

今回の「地力」は、以前、同じく宮崎みよしが企画した六甲アイランドの野外展よりももっとゲリラ的に実現してしまったのである。新聞を見て、倉庫の所有者に直接会って展覧会の開催意図を直訴、運良くその所有者は快諾してくれた。その上準備から開催中にかかる電気代などの経費を負担してくれることとなった。日ごろ画廊に通う美術ファンではなく、どちらかというと美術に縁遠いビルのオーナーが展覧会を支援してくれることになったということは、頼もしいことであった。

地力は、近年稀にみる、おもしろくて楽しい展覧会になった。私自身、何人かを半ば無理やり連れていったが、誰もが「見ているうちに、だんだんおもしろくなってきて」二度三度と会場を行き来していた。しかし展覧会を主催した側にとっては「おもしろい」「楽しい」だけではない。作家自身が制作に対する柔軟さと与えられた場に挑戦する能力を見いだせる内容であってほしいと考えている。作家が場を見て、「おもしろい」と感じ取ってから作品をそこに設置するまでの時間は、極めて重要な流れがある。

宮崎からの呼びかけに応じた出品者は、32名。その反応は早かった。会場は、門屋ビル旧店舗を中心に、倉庫ともう一ヶ所二ブロックほど離れたところにあるビルが使われた。旧店舗のビルは、宮崎のドローイングと立体が占めオルソドックスな仕事が空間を再生した。中核となったのは、倉庫に作品を設置したワァ-ダダ・コウドー、國府理だった。ワァ-ダダが事前に倉庫を見に行った時は、使い捨てられたベルトコンベア、流し台、クーラーの室外機やスチール棚の残がいなどが保管されそこは物置同然だった。重量物を移動するだけでも大変な状態だった。数日後、その物置は、見事に整理され、というより残がいは、作品の一部となってよみがえっていた。室外機は積み重ねられて、中二階に上るための階段となり、スチール棚は整然と並べ替えられていた。ベルトコンベアは、作家のコレクションや日用品を乗せガタガタと音をたてて回転を繰り返していた。

美術館やギャラリーのスペースをホワイトキューブと呼ぶが、今回の場はそれとは全く正反対のオルタナティブスペースであり、そこでは作者と場の関係、作者の創作に対する考えなど、作者が場に選らばれることさえある。そしてコストが問われる。その点で、作家たち自らのマネージメントによる成熟した展覧会だった。惜しむことは、もう少し早くから広報をしかけ、より多くの人の目に触れさせたかったことである。

                      河崎 晃一(兵庫県立美術館学芸員)


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